監査等委員会の設置
監査等委員会とは、平成26年会社法改正により新たに導入された株式会社の機関であり、監査役会に代わって過半数の社外取締役を含む取締役3名以上で構成される監査等委員会が、取締役の職務執行の組織的監査を担うものです。
監査等委員会を置く株式会社を「監査等委員会設置会社」と呼びます。
昨今、監査等委員会設置会社は、上場企業の間で導入件数が増加しており、今後もその流れは継続していくように思われます。
本記事では、株式会社が監査等委員会設置会社になるために必要な手続きや注意点について解説をしていきます。
(なお、以下のお手続きは、取締役会、監査役会及び会計監査人を設置している株式会社が、監査等委員会を設置する場合を想定しています。)
必要な手続き
1.株主総会決議
- 監査等委員会を設置する旨の定款変更
- 監査等委員以外の取締役の改選
(監査等委員会設置により、取締役全員の任期が満了するため) - 監査等委員である取締役※の選任(最低3名以上)
※その過半数が社外取締役である必要があります。 - 報酬決議
(会社法上、監査等委員会の構成員である取締役とそれ以外の取締役は別枠で報酬を決議しなければならないとの要請があるため)
2.株主総会後の取締役会決議
- 代表取締役の選定(監査等委員会設置により、取締役全員が改選されるため)
- 取締役の個別の報酬額の決定(監査等委員である取締役を除く。)
⇒監査等委員である取締役の個別の報酬額については、監査等委員である取締役の協議により決定します。
注意点
監査等委員会を設置するに伴い、以下の注意点がございます。
- 現任の取締役全員の任期が満了します。
⇒改めて取締役を改選することとなります。 - 現任の監査役全員の任期が満了します。
(監査役の設置が強制的に廃止されるため) - 会社法上、監査等委員会の構成員である取締役とそれ以外の取締役は別枠で報酬を決議しなければならないとの要請があるため、報酬議案についても改めて策定の上、株主総会にて決議をし直す必要があります。
①②により退任する取締役・監査役に退職慰労金を支払うのであればそれも決議する必要があります。 - 取締役会規程を定めている場合は、規程中、監査役(会)にかかる部分等を改訂する必要があるので、それも併せて取締役会に諮ることとなります。
登記手続き
発生する登記は、以下の通りです。
- 役員変更登記
⇒取締役及び代表取締役の変更
⇒監査等委員である取締役及び取締役(社外取締役)の就任
⇒監査役及び監査役(社外監査役)の退任 - 会計監査人重任
※定時株主総会の場合 - 役員等の会社に対する責任の免除に関する規定変更
- 非業務執行取締役等の会社に対する責任の制限に関する規定変更
(監査役が廃止となるため、該当部分が変更になります。) - 監査役設置会社の定めの廃止
- 監査役会設置会社の定め廃止
- 監査等委員会設置会社の定め設定
必要書類
登記申請の際の必要書類は以下のとおりです。
- 株主総会議事録
- 取締役会議事録
- 就任承諾書
- 本人確認証明書
- 株主リスト
- 委任状
※登録免許税は、9万円です。