NPO法人

NPO法人格のメリット その2

公益社団・財団法人と認定NPO法人の比較

公益社団・財団法人認定NPO法人を比較検討し、それぞれの概要とNPO法人格を選択するメリットを解説していきます。

「税の優遇措置」について

公益社団・財団法人には、公益目的事業非課税みなし寄付金の損金算入限度額が所得金額の50%もしくは公益目的事業に充当される額のいずれか大きい額、利子・配当等の源泉所得税非課税などが加わっており、実利ある優遇措置があります。

認定NPO法人では、みなし寄付金の損金算入限度額が所得金額の50%もしくは200万円のいずれか大きい額となっています。
現状では、それ以外の税の優遇措置はありません。

「寄付者側が納める税金」について

認定NPO法人や公益社団・財団法人に寄付した場合、法人税については一般の寄付金とは別枠で特別損金算入ができるとともに、所得税については所得控除税額控除のいずれかの選択ができ、住民税については都道府県・市区町村の条例で指定を受ければ、一定額をそれぞれ税額控除することができ、同等の優遇措置があります。

また、現金以外の資産を寄付したときのみなし所得譲渡税については、認定NPO法人への場合、非課税の4特例のうち一般特例と買換特例のみでしたが、2020年度から承認特例と特定買換特例も加わり、公益社団・財団法人と同等になります。

「認定基準・要件」について

公益社団・財団法人の場合、認定基準18項目に該当しかつ欠格事由6項目に該当してはなりません。

認定NPO法人の場合、欠格事由については同じですが、認定基準はわずか8項目に該当すれば良いことになっています。

項目数とともに提出書類についても、公益社団・財団法人の方が圧倒的に多く、また複雑で膨大な事務量になります。

「運営」について

公益社団・財団法人になると「毎事業年度の開始日の前日までに事業計画書収支予算書等の作成・行政庁への提出」などの事務が新たに加わります。

認定NPO法人になると「事業年度終了後の役員報酬規程等の作成、所轄庁への提出」の事務が加わりますが、公益社団・財団法人ほどの労力がかかるものではありません。

「有効期間」について

公益社団・財団法人には期限がありませんが、事業年度ごとに「認定基準」に合致し「欠格事由」に合致していないかチェックされ、抵触すると「認定取消し」の恐れがあります。
このため認定を得るよりも維持することの方が難しいともいわれています。

認定NPO法人の有効期限は5年間であり、その後は再申請しなければなりませんが、認定を維持することは公益社団・財団法人ほど難しくありません。

仮に認定が取消された場合についても、認定NPO法人と公益社団・財団法人ではその後の処理に大きく違いがあります。

公益社団・財団法人は「認定取消し」されると、1か月以内に公益目的取得財産残額を定款に定めた法人等に贈与しなければなりません。
再申請できるのは5年後であり、資金が全くない状態で5年間の活動をするのは困難といえます。

認定NPO法人の場合は、財産はそのままで、5年後には再申請できます。

総括

公益事業を行う際に重要なポイントとなる「税の優遇制」と「社会的信用性」については、次の順で強くなっていきます。

  1. 一般社団・財団法人
  2. 非営利型一般社団・財団法人
  3. NPO法人
  4. 認定NPO法人
  5. 公益社団・財団法人

以前、一般社団・財団法人と公益社団・財団法人とは、極端な違いがあり、NPO法人はその中間の非営利法人制度という位置づけがされていました。

しかし、NPO法の改正や認定NPO法人制度の改革が繰り返されたことから、認定NPO法人の税の優遇措置は公益社団・財団法人と実質的にほぼ同等となります。

通常のNPO法人の条例の指定による税の優遇措置もあり、さらに活動しやすく規定も緩和されているため、NPO法人は、非営利法人制度の中でメリットを多く持つ法人格になったといえます。