NPO法人の定時社員総会の対応
NPO法人は、毎年1回必ず社員総会を開催することが義務づけられています。(特定非営利活動促進法(以下、「NPO法」といいます。)第14条の2)
そのため、天災や緊急事態等の特別の事情がない限り、社員総会の開催を省略することはできません。
社員総会は、Zoom等のWEB会議を利用して開催したり、書面表決・電磁的方法による表決を活用したりすることにより、社員が一堂に会することなく、有効に開催をすることができます。
社員総会の開催形態や、それぞれの形態における注意点等をまとめましたので、定款の規定と照らし合わせて、ご自身のNPO法人に合う方法を検討していただければと思います。
【社員総会の開催形態】
- 出席による社員総会
- WEB会議による社員総会
- みなし社員総会(社員総会の決議の省略)
出席による社員総会の注意点
社員(正会員)の出席による表決のほかに、「書面」による表決や「代理人(委任)」による表決が可能です。
さらに、定款に定めていれば「電磁的方法(メール等)」による表決も可能です。
これらの表決方法によれば、実際の会場に出席しなくても、社員総会への出席者数としてカウントすることができます。
WEB会議による社員総会の注意点
社員(正会員)が実際に集まらずとも、様々なIT・ネットワーク技術を活用することによって、実際上の会議と同等の環境が整備されるのであれば、社員総会を開催したものと認められます。
その場合、役員のみならず、社員(正会員)も発言したいときは自由に発言できるようなマイク等が準備され、その発言を他者や他の会場にも即時に伝えることができるような情報伝達の双方向性、即時性のある設備・環境が整っていることが必要です。
また、議事録を作成する際に、開催場所として「オンライン会議システムによる開催」などと記載し、出席者数には、内訳としてオンラインで参加した人数を記載しましょう。
みなし社員総会(社員総会の決議の省略)の注意点
社員総会そのものを省略することはできませんが、NPO法では「社員総会の決議の省略」(法第14条の9)、いわゆる「みなし社員総会」が定められています。
定款に記載がなくても、書面又は電磁的記録により社員総会を開催せずに総会の議決があったとみなすことが可能です。
これは、社員(正会員)全員が書面又は電磁的方法により同意の意思表示を示した場合のみ決議することができます。
仮に、全員の賛成が得られなかった場合や返信がなかった場合は、社員総会(決議)が成立しないことになりますので、社員(正会員)数の多い法人や期限までに全員の同意が見込めない法人は慎重な対応が必要です。
また、みなし社員総会への過度な依存は、NPO法人の意思決定手続の形骸化へとつながるリスクが生じます。
したがって、みなし社員総会の利用にあたっては、意思決定手続きの簡素化と形骸化のバランスを常に考えて運用することが大切です。
本来、社員総会はNPO法人の最高意思決定機関であり、ガバナンス上たいへん重要な機関であることに鑑みると、少なくとも毎年1回の通常社員総会は、実際に開催することが望ましいといえます。
出席による社員総会 |
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WEB会議による社員総会 |
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みなし社員総会 (社員総会の決議の省略) |
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