NPO法人が行う事業について
特定非営利活動
NPO法人の本来の事業は、不特定かつ多数のものの利益の増進に資する事業であり、かつ営利を目的としない事業に限定されています。
もっとも、本来の事業以外にも、「その他の事業」として、本来の事業に支障がない限り特定非営利活動以外の事業を行うことができます。
活動の種類について
NPO法人は特定非営利活動を行う法人であり、この活動は以下に該当するものであることが求められます。
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 観光の振興を図る活動
- 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
- 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
「不特定かつ多数のものの利益」について
特定非営利活動というためには、上記を満たすことに加え、「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とすること」が必要になります。
「不特定かつ多数の利益」とは、法律上一般に用いられる「公益」という文言と同義のものであり、「社会全体の利益」を意味するものです。
つまり特定の個人や団体の利益(私益)や構成員相互の利益(共益)を目的とする活動でないことが要求されます。
「営利を目的としない」ものであること
NPO法人は「営利を目的としない」ことが求められています。
この「営利を目的としない」ということは、NPO法人がその活動において利益を生じさせてはならないという意味ではありません。
その活動から生じた利益を配当金のような形で社員に分配したりすることができないという意味です。
「その他の事業」について
NPO法人は、特定非営利活動を行うことを「主たる目的」としなければなりません。
しかし、主たる事業に支障がない限り、「その他の事業」を行うことが許されています。
この「その他の事業」は特定非営利活動に限定されません。
「主たる目的」について
「主たる目的」の解釈にあたっては、NPO法人設立の認証段階において「全体の事業活動に占める特定非営利活動の割合が過半であること」が判断基準とされています。
「支障がない限り」について
NPO法人設立の認証段階の判断基準として以下の3点があげられています。
- 特定非営利活動に係る事業の支出規模が設立当初の事業年度及び翌事業年度と共に総支出額の2分の1以上であること
- 役員報酬、職員の給与等を含めた管理費の総支出に占める割合が設立当初の事業年度及び翌事業年度共に2分の1以下であること
- 収益事業において設立当初の事業年度及び翌事業年度共に赤字計上されていないこと
まとめ
NPO法人は、その「主たる目的」である特定非営利活動に係る事業の他に、「その他の事業」として収益事業を行うことができますが、主たる事業の「支障がない限り」でなければなりません。
この制限はNPO法人の設立認証時だけではなく設立後も該当し、設立後に係る規制に違反している可能性があれば所轄庁によって報告徴収、立入検査がなされる可能性がありますので、NPO法人が存続する限り留意すべき事項の1つといえます。