認定NPO法人の小規模法人特例
認定NPO法人の要件の1つにPSTに関する基準がありますが、特定非営利活動促進法上の「小規模なNPO法人」に該当する法人には、このPSTに関する基準を緩和する特例が設けられています。
本投稿では、小規模なNPO法人に該当する要件と、具体的な特例の内容についてご説明いたします。
小規模なNPO法人とは
小規模なNPO法人の要件については、特定非営利活動促進法施行令第3条に定められています。
(小規模な特定非営利活動法人)
特定非営利活動促進法施行令第3条
法第45条第2項に規定する政令で定める小規模な特定非営利活動法人は、実績判定期間における総収入金額に12を乗じてこれを当該実績判定期間の月数で除して得た金額が800万円未満で、かつ、当該実績判定期間において受け入れた寄附金の額の総額が3,000円以上である寄附者(当該申請に係る特定非営利活動法人の役員又は社員である者を除く。)の数が50人以上である特定非営利活動法人とする。
要約すると、以下の2つが要件となります。
- 実績判定期間における総収入金額に12を乗じ、これを実績判定期間の月数で除した金額が800万円未満(収入金額の年平均)
- 実績判定期間において受け入れた寄附金の額の総額が3,000円以上である寄附者(役員、社員を除く)の数が50人以上
上記2つの要件をいずれも満たすNPO法人は、「小規模なNPO法人」として、PSTに関する基準の特例を受けることができます。
PSTに関する基準の特例
小規模なNPO法人が、認定の申請をする場合、PSTに関する基準のうち相対的基準に関する要件を緩和させることができます。
相対的基準について、簡単に説明をすると、以下のとおりとなります。
◆相対的基準◆
収入金額に占める寄附金の割合が5分の1以上
収入金額と寄附金について、それぞれ含めることができないものがあります。
控除されるものについては、特定非営利活動促進法施行規則第5条及び同法第7条に規定されています。(本投稿の最後に控除されるものの一覧を掲載しています。)
小規模なNPO法人の場合、控除される項目の一部が緩和されています。
具体的には、以下の2つです。
- 同一の者から受け入れた合計額が1,000円未満の寄附金
- 寄附者の氏名・住所又は名称・所在地が不明な寄附金
上記項目は、一般のNPO法人であれば、収入金額及び寄附金から控除し、金額を算定しなければなりませんが、小規模なNPO法人の場合は、控除せずに金額を算定することができます。
この緩和規定により、少額の寄附金や寄附者が不明な寄附金も、PSTに関する基準において考慮することができます。
小規模なNPO法人の場合、寄附者1人1人の寄附金額が、1,000円を超えないこともよくあるため、効果的な要件緩和といえます。
この小規模なNPO法人の特例を適用するか否かは、認定の申請の際に法人が選択できるようになっております。
認定を申請するNPO法人の実情に合わせて、特例の適用の有無を判断することになります。
総収入金額から控除されるもの
- 国等からの補助金、その他国等が反対給付を受けないで交付するもの
- 国等からの委託事業費
- 法律又は政令に基づき対価を国、地方公共団体が負担するとされている場合のその負担部分
- 資産の売却による臨時的な収入
- 遺贈等による寄附金等で一者当たりの基準限度超過額
- 同一の者から受け入れた合計額が1,000円未満の寄附金
- 寄附者の氏名・住所又は名称・所在地が不明な寄附金
※小規模なNPO法人は特例により、6と7は控除しません。
受入寄附金総額から控除される寄附金の額
- 寄附金のうち一者当たりの基準限度超過額
- 同一の者から受け入れた合計額が1,000円未満の寄附金
- 寄附者の氏名・住所又は名称・所在地が不明な寄附金
※小規模なNPO法人は特例により、2と3は控除しません。