解散の意思決定
株式会社がある日をもって事業の継続を中止し、解散をしようとする場合、以下のいずれかの方法により、解散の意思決定をします。
- 定款に存続期間の満了日を定める
- 株主総会にて解散の決議をする
実務上、②の方法を選択するケースが一般的ですが、登記実務上、解散の決議の日と解散をする日との間に2週間を超える期間を設けることができないという留意点があります。
したがって、解散の決議日と実際の解散日との間に2週間以上の期間が開いてしまう場合は、①の方法を選択することになります。
①の方法は、定款の変更や存続期間の定めの登記申請を要するため、実務上、選択するケースは稀です。
社内で解散日をあらかじめ定めておき、その直前に株主総会の決議によって解散をすることが一般的です。
株主の都合上、株主総会を開催できる日が限られていて、決議日と解散日との間に2週間を超える期間が空いてしまうことが避けられない場合は、①の方法を選択し、手続きを進めていただければと思います。
法務局の運用にもブレがあり、株主総会での解散の決議の日と、解散の日とで2週間を超える期間が空いている場合でも、登記申請が受付けられるケースもあります。
しかし、登記申請が受付けられない確率が高いことから、2週間を超える期間が空いてしまう場合は、①の方法を選択すべきと考えます。
法務局の見解の根拠
株主総会の決議の効力に期限をつけることは、法律上可能ですが、第三者保護の観点から、解散の決議においては、2週間を超える期限の設定を認めないとするのが法務局の見解のようです。
法務局のホームページを拝見すると、株主総会での解散の決議日と解散の日との間に2週間を超える期間が空く場合は、定款に存続期間の定めを設けるとともに、存続期間の定めの登記申請をするよう案内がされています。
この法務局の見解は、実体法上有効な解散の意思決定であるにもかかわらず、それを登記手続き面において否定していることから、その是非には賛否両論があります。
実務上は、法務局での登記手続きが進まない限り、解散及び清算の手続きを進めることができないため、上記の法務局の見解に従わざるを得ない状態です。
したがって、株主総会の解散の決議日と解散の日との間は、2週間以内になるよう、株主総会の開催日を調整することが、現時点での最適な判断であると考えます。
例外的に、株主総会の開催日が調整できず、2週間を超える期間が空いてしまう場合は、定款に存続期間の定めを設け、存続期間の定めの登記申請をしていただければと思います。
(存続期間の満了後に、解散の登記を別途申請する必要があります。)