企業法務

株主リストと株主名簿の違い

株主リストとは

株主リストとは、会社の株主の情報が記載された登記用の書類のことです。
正確には、商業登記規則第61条2項又は3項に係る事項を証明するための書面のことです。

したがって、株主リストは、株式会社に備え置かれている株主名簿とは別物ということになります。

株主リストは、株式会社の登記申請をする際に法務局に対し提出が求められる登記用の書類です。

株主名簿は、会社法第121条により、株式会社に作成が義務付けられている法定書類となります。

株主リストの添付が必要となるケースは、以下の2つです。

  1. 登記すべき事項につき株主総会の決議(種類株主総会の決議)を要する場合
    ⇒株主総会を開催せずにみなし決議(会社法第319条第1項)を行なった場合も含みます。
  2. 登記すべき事項につき株主全員の同意(種類株主全員の同意)を要する場合

株主リストへの記載事項

では、株主リストには、どのようなを書くのかをみていきます。

株主リストへの記載事項
株主のうち、議決権数上位10名の株主、又は、議決権割合が3分の2(66.66…%)に達するまでの株主、のいずれか少ない方の株主について、下記の5点を記載し、会社の代表者が証明します。

  1. 株主の氏名又は名称
  2. 住所
  3. 株式数(種類株式発行会社は、種類株式の種類及び数)
  4. 議決権数
  5. 議決権数割合

ある会社の株主がA(40%)、B(35%)、C(25%)の3名であったとします。
この場合、株主リストに記載するのは、の2名の情報で足ります。

仮に、ABCの3名全員の情報を書いても、登記法上の問題はありませんが、個人情報保護の観点からは、必要最低限の記載で済ませることが一般的です。

また、上位10名の株主の議決権割合が、3分の2(66.66…%)に満たない場合は、上位10名を記載します。

株主が100名いて、上位10名の株主の議決権割合が、20%である場合は、上位10名の情報を株主リストに記載します。

なお、株主名簿の記載事項については、以下のとおりです。

株主名簿への記載事項

  1. 株主の氏名又は名称及び住所
  2. 保有する株式の数
  3. 株式取得日
  4. 株券番号
    (株券発行会社の場合)

最後に、株主リストの作成例を掲載いたしますので、ご参考にしていただけましたら幸いです。