NPO法人と一般社団法人について
社会貢献を目的とする団体が新しく法人を立ち上げようとするとき、どの法人格を選ぶか迷われる方が多いです。
NPO法人は、2008年12月に改めて法制化された「新公益法人制度」の各法人(一般社団・財団法人や公益社団・財団法人)は、「営利法人(株式会社や合同会社などの持分会社)」と比べ、どのような違いやメリットがあるのかを解説をしていきます。
「新公益法人制度」とは
「新公益法人制度」とは、社団・財団法人と中間法人を対象とした新制度で、2008年12月に施行されました。
従来の社団・財団法人は、官庁の許可のもとに設立され、設立時から公益性を認められ、税の優遇もされるという制度でしたが、この改革により、法人の設立と公益性の判断(税の優遇)が明確に分離されました。
本制度では、一般社団・財団法人は登記のみで設立できることになり、これらのうちで公益等認定委員会などにおいて18基準に合うと認められた団体が、税制優遇のある公益社団・財団法人になることができます。
一般社団・財団法人とNPO法人の比較
「設立目的」・「事業内容」・「運営」について
「設立目的」・「事業内容」については、一般社団・財団法人の方が何も問われず、自由に活動でき、法人格の取得も容易にできます。
「運営」についても、一般社団・財団法人は、定款や事務所変更をしたときに、公証人の認証を改めて受けたり、役所等に届け出たりする義務もありません。
NPO法人は、「設立目的」が問われ、「事業内容」についての制限があり、設立時はもとより定款や事務所変更時にも、所轄庁への届出もしくは改めて認証を受ける必要があります。
さらに事業年度ごとに事業報告書等を提出し、監督も受けなければなりません。
「内部統制(ガバナンス)」について
一般社団・財団法人は、役員報酬、役員の損害賠償責任、社員代表訴訟、裁判所の介入・罰則など、NPO法人と比べものにならないほど数多くの厳格な規定が設けられています。
「税制」について
一般社団・財団法人は全所得課税であり、営利法人と同じですが、非営利型法人としての要件を満たした場合は、税法上の収益事業のみ課税となります。
NPO法人の場合は、一律税法上の収益事業のみの課税で、さらに法人登記の登録免許税が非課税、収益事業を行っていなければ法人税(均等割)が申請により免除されることになり、実利ある優遇があります。
寄附者側が収める税金については、営利法人、一般社団・財団法人、NPO法人に寄附する場合、法人税については一般寄附金としての損金算入しか認められていなく、所得税・住民税については控除されません。
しかし、NPO法人の場合、都道府県・市区町村の条例の指定を受ければ、住民税について一定額を税額控除することができるようになっています。
「社会的信用性」について
一般社団・財団法人は「誰でも簡単にでき、拘束なく活動できる」ということで、新公益法人制度以前と比べ全般的に低下すると思われます。
NPO法人は、「所轄庁の認証・監督」があることで、一定の社会的信用性を確保しているといえます。
まとめ
上記のことから、一般社団・財団法人とNPO法人を比較した場合、「税の優遇」と「社会的信用性」の面において、NPO法人格を選択するメリットがあるといえます。
「設立目的」や「事業内容」に制限はあるものの、ご自身の社会貢献活動の内容が、この制限の中にある場合は、NPO法人格を選択し設立されることをお勧めいたします。