NPO法人の「その他の事業」
NPO法人は、特定非営利活動を行うことを主たる目的とする法人であるため、法人の事業として営むものは、主に特定非営利活動に係る事業でなければなりません。
しかし、特定非営利活動に係る事業しか営めないとなると、事業の性質上、事業収益を上げにくいものもあるため、資金不足により事業の継続が難しくなってしまう事態が想定されます。
そこで、特定非営利活動促進法の第5条では、特定非営利活動法人に「その他の事業」として、特定非営利活動に係る事業以外の事業を条件付きで営むことを許可する規定があります。
条件は、「特定非営利活動に係る事業に支障がない限り」と規定されています。
つまり、本業の特定非営利活動に係る事業に支障が出ない限度で、特定非営利活動にとらわれない、収益性の高い事業を営むことができます。
ただし、その他の事業で生じた利益については、特定非営利活動に係る事業のために使用をしなければなりません。
上記をまとめると、特定非営利活動に係る事業に支障が出ない限りにおいて、収益性の高い事業を営むことができ、その事業で得た利益を、特定非営利活動に係る事業のために使用することができるということになります。
「その他の事業」の利益に対する課税について
その他の事業の利益に対する課税については、本業の特定非営利活動に係る事業と同様に、法人税法上の収益事業に該当する場合に法人税が課税されます。
「その他の事業の利益=法人税が課税される」と誤解されることが非常に多く見受けられます。
しかし、特定非営利活動に係る事業かその他の事業かの区分は、法人税の課税区分とは全く関連をしていません。
事業が税法上の収益事業に該当するか否かという基準をもって、法人税の課税対象の判断がなされます。
つまり、特定非営利活動に係る事業においても、法人税法上の収益事業に該当する場合は法人税が課税されます。
同様に、その他の事業においても、税法上の収益事業に該当しないものは法人税が課税されません。
したがって、その他の事業を営まれる場合は、その事業の利益に対し法人税が課税されるか否かを事前に税務署等に確認をしておくことが大切です。
後になって、課税対象であることが判明すると、税務申告をしていない場合、罰則の対象にもなってしまいますので、必ず事前に確認をするようにしていただければと存じます。
「その他の事業」の会計について
その他の事業に関する会計は、基本的には、本業の特定非営利活動に係る事業の会計と同じになります。
ただし、注意が必要なのが、その他の事業に関する会計は、特定非営利活動に係る事業に関する会計から区分しなければならないということです。
つまり、事業費や管理費を、特定非営利活動に係る事業に関する会計と合算し算出するのではなく、その他の事業に関する会計を独立させ、事業費や管理費を算出する必要があります。
そして、その他の事業で出た利益額を、特定非営利活動に係る事業に関する会計に振替え、次年度以降の特定非営利活動に係る事業のために使用します。